春を告げるスウェーデンのお菓子「セムラ」、北欧で愛されるそのお味とは…?
スウェーデンには毎年2月に「セムラの日」があります。「セムラ(Semla)」とは、北欧でこの時期だけ食べられる特別なスイーツ。発祥の地スウェーデンでは“春を告げるお菓子”として愛され、多くの人が毎年「セムラ」を食べることを楽しみにしています。

スウェーデンの伝統菓子「セムラ」/Photo:rachelkhoo.com
北欧の伝統菓子「セムラ」とは?
「セムラ」はスウェーデン発祥のスイーツです。フィンランドでは「ラスキアイスプッラ(laskiaispulla)」、デンマークとノルウェーでは「ファステラーヴェンスボーレ(fastelavnsbolle)」と呼ばれる「セムラ」は、カルダモンを練りこんだブリオッシュ風のパンに、アーモンドペーストとクリームをたっぷりと挟んだシュークリームのようなルックスが特徴。(味は似て非なり)
シュークリームより甘さ控えめで食べ応えがあり、日本の菓子パンに近い食べ物です。名前の由来は、ラテン語のSemilia(上質な小麦粉)と言われています。
「セムラ」は、キリスト教の春の祝日であるイースター(復活祭)にまつわる告解の火曜日に食べるお菓子として17~18世紀(※)に誕生しました。その昔、キリスト教圏のスウェーデンではイースター前の四旬節に断食を行う風習があり、人々はその断食に備え、告解の火曜日に栄養価の高い食べ物を摂取していました。その際に食べられていたのがこの「セムラ」です。
「セムラ」はその後、スウェーデンからフィンランドやノルウェーに伝わり、北欧各国で食べられるようになりました。現在のスウェーデンでは断食の習慣はありませんが、「セムラ」を食べる伝統は引き継がれ、“告解の火曜日”が現代の「セムラの日」になったというわけです。(セムラの日は毎年変動します)
※諸説あり

過去のベスト・セムラ・コンテストの様子/Photo:mittkok
スウェーデンでは毎年「セムラ」のコンテストがある!
スウェーデン人はとにかくこのセムラが大好き。毎年この時期の人々の話題は「今年はどのお店のセムラを食べる?」であり、各テレビ局や新聞、雑誌などでは今年のベスト・セムラやセムラ・ランキングが発表されるほどです。
ちなみに私、スウェーデン在住のエディターIも、今週カフェやベーカリーでいくつかのセムラを堪能いたしました。なかでも美味しかったのが、ストックホルムのベーカリー&カフェ「Bullar & bröd」のセムラです♡

1個 45スウェーデンクローナ(約570円)※2021年現在
「Bullar & bröd」は、2015年にスウェーデンのベーカリー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたこともある人気のパン屋さん。ストックホルムに2店舗あり、パンやペストリー、サンドイッチ、ケーキの他、コーヒーなどのドリンク類も提供しているので、軽い食事やお茶をしたい時に便利なお店。
同店のセムラは、サクサクっとしたパン生地にクリームがたっぷり。重量感があります。アーモンドペーストは濃厚でしたが、クリームとパン生地は甘くないので、何とか完食できました…!
初めてセムラを食べる方は、ピリッとしたカルダモンの味とたっぷりすぎるアーモンドペースト、甘くないクリームに驚くかもしれません。日本のシュークリームの味を想像していると意外性が高いです。
今年は自分で「セムラ」を作ってみました
そして今年はお店で食べるだけでなく、家族と一緒にセムラを手作りしてみました! 写真が暗くてわかりづらいですね。。クリームが少し柔らかくなってしまいましたが、初めてにしてはなかなかの出来だと思っています(自画自賛)。

手作りのセムラ By エディター・I
日本でもセムラの知名度は年々高まっていますが、食べるチャンスはまだ少ないかもしれません。
日本では同時期にイケアレストランなどで期間限定販売が行わるようです。機会があればぜひお試しを!
※この記事は2020年2月に初公開されたものです
※2023年2月20日情報更新済